Tomopiiaは慢性疾患を抱えた患者さんが退院後の状態をトラッキングし、ナースと直接コミュニケーションするのを支援するプラットフォーム。

Challenge

医学の発達により、慢性疾患を抱える患者さんの入院期間が短くなりました。しかし退院後に在宅で慢性疾患に対処するときも、専門家に相談して医療アドバイスを受けたいというニーズがあります。

Opportunity

Tomopiiaでは、ナースによる短期間の有料コンサルティングサポートを提供します。このベンチャーを利用すると、患者さんは自宅にいながら、慢性疾患を管理するために、パーソナライズした療養計画とサポートシステムにアクセスできます。

在宅療養に革命を起こすTomopiiaのビジョンとは(重村潤一朗)


Words by Kyra Yamamoto

起業家であれば、正しい選択かどうか完全に自信を持てなくても、勇気を持って決断を下す意志があることが重要です。これは考えなしにリスクをとるということではありません。問題を直視し、その中に機会を見つけるということです。

Tomopiiaは慢性疾患を抱えた患者さんが在宅で生活をトラッキングし、ナースと直接コミュニケーションするのを支援するベンチャーです。このアイデアは、2020年の始め、ちょうど新型コロナ感染症が世界で蔓延し始めた頃に生まれました。EIRの重村は、病院と直接連携し、医者とナースのネットワークを構築したいと思っていましたが、新型コロナの流行中がこれを困難にしました。そのためアプローチを修正し、新しい方法でベンチャーを始めることにしました。

 

「結果としてパンデミックが、ドクターや看護師とのバーチャルな繋がりをもたらし、新しい世界を広げてくれました。世界が完全にリモート化していなければ、香港、イタリア、アメリカなど、世界中の看護師とつながることができなかった。それが面白く、刺激的でした。私は『この変化は好機でもある』と思いました。パンデミックの状況は厳しく、人々を孤立させました。しかし私と私の仕事に関しては、新しい機会が創出されたのです」

 

パンデミックの影響で、患者さんが医院や病院に足を運ぶのをためらうようになったことで、この新たな機会は明確になりました。慢性疾患を抱える患者さんは、退院後も、医療従事者によるアドバイスや定期的な病状の確認を希望しています。Tomopiiaはナースによる短期の有料コンサルティングサポートを提供することで、こうしたニーズに対応しています。Tomopiiaのサービスにより、患者は自宅にいながらパーソナライズした療養計画とサポートを受けることができます。

 

「パンデミックは、たくさんの新しい機会をもたらしてくれました。日本の医療業界は閉鎖的で保守的です。医者や病院は、外部と提携を組んだり、開業をしたりすることを渋ります。今では、あらゆる患者さんが医療サービスに新たにアクセスできる、遠隔医療やヘルスケアへのリモートアクセスを考慮した施策が導入されるようになりました。システムを変え、新しいサービスを患者さんに提供する絶好のチャンスが到来しています」。

 

彼の起業家としてのポジティブ思考と深く相手に共感する心は、私達にインスピレーションを与えてくれます。数えきれないほどの患者、医師、ナースその他の医療関係者との出会いを経て、より長期の看護を可能にするプラットフォームを作成することができました。Tomopiiaは2021年3月にMVPをリリース以来、プラットフォームに参加するナースと利用する患者を積極的に増やしています。この急成長により、重村はベンチャーのリーダーとして自分をどう認識するかと、自分にとって何が重要かという認識を進化させました。

 

「起業の過程は紆余曲折です。私の考えでは、起業家としてプロジェクトを進める上で様々なことを決めなければなりません。たくさんの選択肢を前に、1つ1つ決断をし、自分が行った選択に自信を持たなければなりません。三井物産では、常にゴールが見えていました。しかし起業家となったからには、ゴールは自分で作る必要があります。ゴールを達成するための答えや道筋を見つけるには、クリエイティブである必要があります。そしてチームの灯台となり、自分の理念とビジョンによってパートナーとチームを導き、前進させなければいけません」。

起業家として最も重要な特性を尋ねられたとき、彼はこう回答しました。「忍耐強い創業者というものは常に理念を持っています。理念があれば、プレッシャーや問題を抱えていても、変更し、順応し、前進することができます。自分の理念を理解していたら、どんな問題が起きてもまずは解決できるでしょう」。

 

彼はまた、成功は自分の功績だけによるものではないこともよく理解しています。そしてチーム、ナース、ユーザーなど、起業の過程において自分にインスピレーションを与え、支えてくれた全ての人に、たびたび感謝の意を示しています。ビジョンにより人々を導くのは自分だが、Tomopiiaを成功させているのは、チームの仲間と呼べるすべての人々だと考えています。

 

「以前は自分で何でもできると思っていました。しかし一人だけでは足りません。チームに目標があり、お互いを補完するスキルがあれば、リーダーは信念を持つことができ、ビジョンを示し、スタッフに権限を委譲することができます。強固なチームが最も重要です。同じ目標の達成にコミットした仲間がいることが大事です。もちろんアイデアも大事ですが、何よりも重要なのはチームなのです」。

 

「Moonメンバーは私に、インスピレーションや、新しい視点で考える機会をたくさん与えてくれます。例えばヨー・チユン(Yo)は、デザインだけでなく、自分の見解や意見など、多くのことを共有してくれます。同僚やMoonメンバーからも刺激を受けています。MoonのCEO横山 賀一は先輩として、よいアドバイスを与えてくれます。私はとてもラッキーだと思います」。

 


「世界が完全にリモート化していなければ、世界中の看護師とつながることができなかった。それが面白く、刺激的でした。私は『この変化は好機でもある』と思いました」


Entrepreneur–in–Residence

重村 潤一朗 ヘルスケア・サービス事業本部 Mitsui & Co., Ltd.

Moon Team:

Chiyun (Yo) Yeh 鈴木 麻希子 藤井 正雄 野中 翔 Ted Ko

Executive Sponsor:

Mary Ann Gallo


Where Tomopiia is today:

追加のユーザーテストの実施しつつ、看護師ネットワークの拡大を進めています。

Twitter:

@Tomopiia2021

Facebook:

Tomopiia


Explore Venture Spotlight