新米パパママにとって、寝不足は大きな悩みの種です。しかし、特に保守的な日本人は「ねんねトレーニング」という概念に馴染みがないため、解決策を見つけ出すのは困難です。そのため、新米パパママ(特に母親)は平穏な眠りを妨げられて日常生活に支障をきたしているのです。Lullabyの目標は、新米パパママの活動的なライフスタイルに合わせて、測定可能でカスタマイズできる赤ちゃんのねんね体験を作り出すことです。
Lullabyの目的は、日本市場において、保育者に「夜泣き、寝かしつけ改善」という新しい文化を創造し、伝えることで赤ちゃんや保育者に健康的で有益であることを示そうとしています。日本において市場初のねんね改善サービスである点がLullabyのチャンスです。
Lullabyが辿り着いたパパやママが本当に欲しかったもの(田子友加里)
数年前に田子友加里に「創業者にならないか」と尋ねたら、その申し出を辞退したかもしれません。息子の誕生が、プライベートライフから仕事のキャリアも含め、彼女のすべてを変えたのです。この生活の変化が、Moonとアイデアを共有するきっかけとなりました。
「息子が生後6か月の頃、夜は3時間おきに目を覚ましていました。初めて母親になった私には、精神的にも肉体的にも最も辛い経験の1つでした。眠れなかったのです。気持ちの上では、起き上がって息子の面倒を見たいと本当に思いましたが、できませんでした。それは親としての新しい生活を台無しにしました。もう1つ大きな打撃だったのは、息子を上手く寝かしつける確実な解決策が無いと分かったことでした。私が出産したアメリカでは、『ねんねトレーニング』という、私の置かれた立場に立って私をサポートしくれるスリープコンサルタントが指導してくれるという文化がありました。このような文化は日本にはまったくありませんでした。今でも無いように思います」と語り、「スリープコンサルタント指導のねんねトレーニングという経験、そしてこのような支援を受けられる環境があったことが新米ママの私を本当に助けてくれました。これを日本でも実現し、日本の市場に合わせてローカライズしたいと強く思いました」。
2019年9月1日、彼女は三井物産ヘルスケア・サービス事業本部からMoonに出向しました。最初にMoon Committeeにピッチした時の彼女のアイデアは赤ちゃんのより良い眠りを助けるプロダクトでした。ターゲットユーザーや彼らのニーズをリサーチすることで、Lullabyのビジョンも進化しました。
「当初、私は赤ちゃんを寝かしつけるのに役立つプロダクトを提供したいとだけ考えていました。それが私たちのプロダクトビジョンでした。『これを買えば赤ちゃんは眠ってくれますよ』というものです。でも、たくさんのパパやママに話を聞いているうちに、彼らが本当に望んでいること、そして彼らが本当に心配していることは、単に自分たちの赤ちゃんを寝かしつけることではないと分かるようになりました。『赤ちゃんが毎晩10時間も眠っている!』と私たちのところに相談に来たママもいました。赤ちゃんが良く眠っていても、眠っていなくても、新米パパママは何か間違っているのではないかと不安に思っているのです。」
「パパやママが本当に欲しかったのは「自信」でした。誰かに「そうだよ、あなたの子供は大丈夫だよ、あなたはよくやっているよ」と言ってもらいたかったのです。親として自分の決断に自信を持つための安心感を求めていたのです。このことが、私のLullabyのビジョンを大きく変えました」。
彼女が起業家として優れているのは、「夜泣き・寝かしつけ改善」を通じて親たちに自信を与えようとする熱意と、その熱意が彼女自身をも成長させている点です。これまで共に仕事をしてきたママやスリープコンサルタントのことを話している時の彼女の生き生きとした表情を見ていると微笑まずにはいられません。「最初に自分のアイデアをMoonと共有すべきか迷っていた際、考えて決断しなければならないことがたくさんありました。でも、Moonに来て、友人や家族、同僚からこんなにも多くのサポートを受けられて私はなんて幸運なのだろうとすぐに思いました。皆とても協力的で、特にLullabyへの参加を決意してくれたスリープコンサルタントたちには感謝しています。中にはフルタイムの仕事を辞めてLullabyに100%専念してくれている人もいます。もう後戻りはできませんし、Lullabyの開発をやめることもできません。私の夫、元の職場、Moon、私のチーム……彼らのおかげで、進み続けることができます」。
パンデミックの影響を受けながらも、この1年でLullabyの成長に尽力した彼女の姿は、新進気鋭の創業者としての力強さを感じさせます。Lullabyのベータ版アプリは12月初めに、公式アプリは2021年3月25日に発表されました。さらに、Lullabyを作成したチームは小児スリープコンサルタント資格取得講座を立ち上げ、その後50名のコンサルタントを擁するスリープコンサルタント・コニュミティにまで成長させました。
「サービスローンチ以降、「夜泣き・寝かしつけ改善」のコンサルティングには98%の満足度を得ています。1つ明らかなのは、コンサルティングを受け、赤ちゃんの正しいリズムを学んで一貫した姿勢で臨めば、高い確率で赤ちゃんの眠りに良い変化が現れるということです。満足度98%というのは、コンサルティングおよびアプリがきちんと機能していることを証明していると思いますが、難しいのは、日本ではまだ一般的ではないねんねトレーニングを試してみようと、パパママに一歩踏み出してもらうことです。でも、実際にやってみると、効果があることを理解してもらえます。それが今一番の課題です」。
「売上が出ていることも私の自信になっています。売上を上げると同時に、コミュニティに良い影響を与えることができるサービスがあれば、それは成功だと考えています。市場に適合していると確実に知るためには、売上は大きな要素です。たとえ少額でも売上が出ていれば、それは価値のあることだと感じられます。この方法が正しいのではないかと思える希望の光が少し見えてきました、このまま進み続けたいと思います」。
彼女がアイデアをSMAPで共有して以降に経験した成長のおかげで、彼女自身もプライベートでも仕事上でも、より自信を持てるようになりました。
「自分だけでは一から会社を立ち上げることはできなかったと思います。Moonが私に寄り添い、多くの機会を与えてくれました。素晴らしいアイデアを持ち、それを提供したいと思っている人になら誰でも、Moonはそのようなライフスタイルをサポートし、実現させるための大きな役割を与えてくれます」。
「パパやママが本当に欲しかったのは「自信」でした。誰かに「そうだよ、あなたの子供は大丈夫だよ、あなたはよくやっているよ」
Entrepreneur–in–Residence:
田子友加里
ヘルスケア・サービス事業本部 Mitsui & Co., Ltd.
Moon Team:
Adam Bildersee 川西 麻未 Jeff Chen Kyra Yamamoto Lung Tsai (Ryu) Liu 藤井 正雄 Sharon Peng 西森 新吾 野中 翔
Executive Sponsor:
Jeremy Clark
Where Lullaby is today:
Lullabyのサービスは安定して運営されており、10人以上の認定スリープコンサルタントが、多くのの会員(アプリのダウンロード数は4,000以上)に赤ちゃんの健康的な睡眠習慣についてアドバイスを行い、収益を上げています。ユーザー調査では、「Lullaby」サービスの特徴として、睡眠スケジュールへの適応など、独自の価値を提供する機能が明らかになっています。EIRとチームは現在、強固な成長と収益性を実現するための基盤となる中期的なプロダクト戦略を策定しています。