タイのEZDは、扱いにくい大型家電・家具の、簡単で便利なリサイクル・サービスです。

Challenge

タイの都市人口は急速に増加しています。最も成長が早いのがバンコクで、公共交通機関に隣接するコンドミニアムの数が飛躍的に増えています。人口の増加は新しい家具や家電の需要を高めていますが、古くなったかさばるアイテムを効率的にリサイクルするシステムは現在のところ存在しません。これにより、地域の廃棄物も増えています。

Opportunity

EZDはタイで初の、大型で扱いにくい家電や家具を対象としたリサイクル・サービスを構築することを目指しています。これにより、都市部で起こっている急速な人口増加によって生み出される廃棄物を削減できます。EZDのビジネスモデルは、シンプルさと便利さによってユーザーを惹きつけ、環境と社会双方に役立つことを目指しています。

ロックダウンが加速するEZDのインパクト(Den Lertchanyarak)


Words by Kyra Yamamoto

EIRのDenの人物像についてMoonメンバーに尋ねると、「闘志」という単語が何度も出てきます。この単語が大きな意味をもたない場合もあるかもしれませんが、駆け出しの起業家にとってはこれがすべてです。スタートアップにおいて「闘志」を持つことは、すべての要素が整っていない、あるいは状況が予想していたほど理想的でない場合でもすばやく計画を推し進められるということを意味します。EIRとして、彼は意志が強いだけでなく、周囲をワクワクさせる存在です。意欲的な態度と学ぼうとするハングリー精神を持つDenは、起業家として抜きん出ています。

 

彼はパンデミック中にMoonのピッチに参加した数少ないEIRの一人です。以来、リモートでMoonと共にベンチャーを構築しています。「昨年ピッチする前、私は自宅の様々な不用品から発想を得ました。閉じこもっている間何か月も、がらくたの山を眺めていたのです。他の人も家具をどうやって処分しようかと考えているのだろうなと思いました。ロックダウン中、自分の持ち物だけに取り囲まれていつもより長い時間を過ごしているわけですから。そして思ったのです、「そうだ、新しい物を使えばいいじゃないか。でもまず、新しい物を置くために古い物をどうやって処分しようか?」。

 

制約がイノベーションを生むことはよくあります。Denは、パンデミックによる政府のロックダウンから、Moonと共に行う最初のベンチャーのインスピレーションを得ました。それが、タイにおいて大型の扱いにくい家電や家具をシンプルで便利な方法でリサイクルするサービス、EZDです。

 

100%リモートでベンチャーを構築し運営するのは不可能だと考えるかもしれませんが、Moonに参加してからDenが成し遂げてきたことを見れば答えは明確です。彼のチームは全員がリモートというだけでなく、それぞれまったく異なる時間帯で作業をしています。もちろん、ブレインストーミングやミーティングの時間についてはいくつか課題もありますが、それはEZDを前進させる妨げにはなりませんでした。

 

「何一つ簡単なことはありません。でも簡単にあきらめるわけにもいきません。ならば、ひとまず深呼吸。そして自分のコンフォートゾーンから外に出て、考え方を広げてみましょう。きっとあなたにとっての出口があるはずです。あきらめず、辛抱強く。Moon Mateに何でも聞いてみること。Moonでは、さまざまな専門家や素敵なアイデアに出会えるはずです」。

 

「正しい答えを得るために、私はたくさんの質問をし、自分自身でも答え探してみます。適切な質問とは限りませんが、問い続け、試し続ければ答えは至るところにあります。少なくとも何らかの答えが見つかるでしょう。テッド・コーはある時、私に『失敗すれば、その失敗から多くを学ぶことができる、その次は成功から学ぶことができる』と言いました。問い続け、答えを求め続ける。なぜうまくいかないのか?どうすれば調整できるのか? これこそが、ベンチャーを前に進めるために必要なことです」。

 

Denが2020年10月1日にMoonに来る前はタイ国三井物産のファッション・繊維事業部で働いていました。「Moonに入る前は、自分の上司の指示のもとで働く立場でしたが、今では自分で全て考える必要があります。このベンチャーは新しく、今まで誰もやったことがないので、自分で自分の進む道を決めなければなりません。 起業家というのはエモーショナルなものです。CEOになって人にやるべきことを指示できるというだけでなく、あらゆる種類の人々に自分のアイデアを支持してくれるよう説得しなければなりません。自分のコンセプトが認められればサポートしてもらえますが、そうでなければ支持してもらえるように説得する別の方法を見つける必要があります。私は起業家とCEOの違いをいつも考えています。起業家は最初からあらゆる役割を担うのです」。

 

ZDはその後MVPのランディングページを立ち上げ、400名を超える新たなユーザーがEZDのウェブサイトを訪れています。「Moonに入ってから、どれほど多くのことを学んだことでしょう!GoogleフォームやGoogleサイトの使い方は、以前はまったく知りませんでした。ウェブサイトの作成やSurvey Monkeyについては知っていましたが、Moonに入った時には時間もリソースも限られていました。すぐにでもライブサイトを作りたいと思いましたが、時間の制約や必要とする人材の関係でできませんでした。持っているもので何ができるか考えなければなりませんでした。そして、Googleスライドを使えば簡単にウェブサイトを作れることを知りました。Figmaでのスライドデザインをデザイナーに依頼していたので、そのデザインをGoogleスライドにインポートして簡単なウェブサイトにすることができました。モバイル版を使いたい場合は、サイト上のQRコードをスキャンすれば、Googleフォームから直接サインアップできます」。

DENは意欲にあふれており、実際、「EZDは次に何をするのか」と尋ねると、彼の答えは率直なものでした。「多分、次の10年で上場できるでしょう(笑)。今はたくさんのピッチを行っていて、あと3か月あればEZDが社会やコミュニティに役立つことを証明できる、とステークホルダーを説得しようとしています。LINEのような既存のソーシャルネットワークを使ってモバイル予約アプリを作りたいと思います。LINEのアプリを使えば、ウェブサイトを開く必要もありません。EZDのチラシに載っているQRコードをスキャンすればすぐにLINEグループに入ることができます。そこから、ピックアップ、寄付、回収のスケジューリングが可能です」。

 

ベンチャーを推し進めようとする彼の情熱には頭が下がります。思うように答えが見つからなくても、いつも笑顔で道を切り開いているように見えます。起業の道のりは決して一筋縄ではいきませんが、Denはどんな困難に直面しても、なぜか楽観的でいられるのです。

 

「情熱と、より多くの知識が必要です。最初は知識が足りてなくても、必要なことを学び、理解していけばいいのです。常に自分で学ぶ姿勢を持ち、それを継続することが大切です。多分、人にアドバイスできるようなことはなく、むしろ自分自身を奮い立たせるために続けているのだと思います。起業家であることは、私のコンフォートゾーンを超えていることは間違いありません。だから私はよく眠れないのだと思います(笑)。自分の居心地の良い場所をちょっぴり超えることで私は常に進み続けることができると思います」。


「何一つ簡単なことはありません。でも簡単にあきらめるわけにもいきません。ならば、ひとまず深呼吸。そして自分のコンフォートゾーンから外に出て、考え方を広げてみましょう。きっとあなたにとっての出口があるはずです。あきらめず、辛抱強く」


Entrepreneur–in–Residence:

Tanongdej (Den) Lertchanyarak

ファッション・繊維事業部 Mitsui & Co., (Thailand) Ltd.

Moon Team:

Hoan Pham Pei Han Lim Ted Ko

Executive Sponsor:

Mike Peng


Where EZD is today:

タイのより多くの地域にサービスを拡大し、スケーリングをサポートするデジタルプラットフォームを構築しています。

LINE:

@ezd


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