今年度は、その困難さと不透明さから忘れがたい一年となりました。私たち全体としてレジリエンスが試された年でした。未知の状況でも前進することができるか?この疑問が私たち皆の心にありました。起業家精神というのはそもそも、明確なロードマップのない行程です。パンデミックにおいても、私たちのEIRは前例のない未知の世界で初めてベンチャーを立ち上げるにも関わらず、揺るぎない決意とポジティブな姿勢で突き進みました。6つのベンチャーおよびそのEIRたちは、パンデミックだからこそ引き出せるユニークなチャレンジと機会を活用しました。
EZDのビジネスアイデアはロックダウンから生まれました。EIRのTanongdej Lertchanyarak (Den) が新しい家電を置くスペースを作るために要らないものを全部処分したいと思ったのは、タイの自宅にこもっている時でした。しかしタイでは、ごみ処分サービスやリサイクル収集、特に大型の家具や電気製品については行われていないことに気づきました。そこでアイデアがひらめき、彼はこのアイデアをMoonに提案しなければ、と思いました。
わずか10分間の音声による学びのコンテンツを提供するベンチャーのVOOXは、パンデミック前は通勤中に聞かれることを想定していました。パンデミック中、通勤する人が激減したため、EIRの洪貴花(Guihua Hong)は別のオーディエンスを探す必要がありました。ユーザー調査から、VOOXのチームは、ワーキングマザーが継続的な学習を通じてキャリアを高めたいと願いながらその時間を作れないという問題を持っていることを見つけました。少しの調査と軌道修正を厭わない姿勢により、VOOXは機敏に動き、ターゲットオーディエンスを拡大することができました。
ベンチャーSuupのEIR、南原一輝と堀口翔平は、パンデミックが発生する前から、誰もが一時的な会議室やワークスペースを見つけて予約できるサービスを開発していました。2人のEIRは、リモートファーストの新たな仕事環境において加速的な成長を遂げました。オフィスが閉鎖され、日本中の多くの人々がオフィス以外のワークスペースを探し始めたのです。Suupのサービスにとって、これ以上ない好タイミングでした。
Tomopiiaは、慢性の病気を持つ患者さんが療養の様子を記録し、ナースと直接対話できるサービスですが、元々は病院内で医師、ナースおよび患者のネットワークを構築するのが目的でした。パンデミックで病院へのアクセスが制限されたため、TomopiiaのEIR重村潤一朗は、ネットワーク構築のためにビデオ通話という手段を採用しました。最初は課題がありましたが、ビデオ通話によりナースの時間を確保しやすくなったことで、より早く、より頻繁にナースと連絡が取れるようになり、Tomopiiaのネットワーク拡大につながりました。
LullabyのEIR、田子友加里は、自分のアプリを使ってくれたママやスリープコンサルタントとのつながりを、外出制限中の心の支えとしていました。この辛い期間を通して、彼女は、ターゲットとなるオーディエンスを真に理解し、そのニーズに耳を傾けるようになりました。ママたちが最も望んでいることに耳を傾けることによってLullabyをさらに成功させることができる、と学んだのです。
日本でテニスコートの空きを探すのは非常に困難なことがあります。多くの人がアウトドアでのアクティビティを切望していたパンデミックの間は特にそうでした。テニスベアのEIR、江嵜慶と増原裕之は、あらゆるレベルのレクリエーション・プレーヤーを繋ぐコミュニティ重視のアプリを開発しました。多くの人が人とのつながりを求めていた時期に、テニスベアは単なるテニスの試合だけでなく、ユーザーが必要としていた人とのつながりを得る手助けをしました。
これら6つのベンチャーは、いずれもパンデミックによって新たな予想外の課題に直面しました。そして、その課題が新たな発見と学びをもたらしました。これこそ、Moonが称える魔法なのです。
彼らの物語を紹介します。