車と人が行き交うにぎやかな表参道の交差点からすぐ、青山通りと表参道をL字に結ぶ裏路地にMoon 2つ目の拠点となるTokyo Studioが2021年1月にオープンしました。広々としたテラスの先に、真っ白な壁面を豊かな植栽で彩った開放的な建物は、個性的なショップや隠れ家的なレストランが並ぶ一帯でもひときわ目を引く存在です。
しかし、そのオープンまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。Comunication DesignerのChihiro、 Ryu、Yoが中心となり、オフィスのデザインを進めている真っ只中に、新型コロナウイルスが瞬く間に世界に広がったのです。当然オフィスデザインも、コンセプトからの大幅な変更を余儀なくされたのでした。
新たに設けられたコンセプトは「Nature’s Creative Factory 」。緑や自然素材を配した環境のもと、各自が自由に発想し、また実際に手で作り出すことが可能な空間を目指しました。結果として完成したオフィスはこれまでにないものに。メインとなる2階は、通り側の全面が掃き出し窓で、一切の仕切りのない明るく広々とした空間が広がります。パンデミックという想定外の出来事が、これまでのオフィスのイメージを覆す自由でクリエイティブなデザインを生む原動力となったのです。
オフィスのコンセプトに関して、Yoは「人は自然の中に身を置いているときが最も心地いい、誰もがそうだと思います。そして、リラックスしているときが一番創造的なんです」と説明してくれました。そして「Moonはたくさんのベンチャー、いわば新しい未来を創造する工場でもあります。原石を見つけ、それを磨いてダイヤモンドにする場所です」と、そこに込められた思いを語ってくれました。Chihiroは、このオフィスの特徴を「これからオフィスに集まる皆さんが育てていけるよう、余白のあるデザイン。訪れたゲストの皆さんにMoonのカルチャーが伝わるデザイン」になっていると教えてくれました。Ryuは「限られた条件の中でコミュニケーションをしやすい空間になるよう、細かいこだわりがたくさん。早くコロナが落ち着いて、一緒にこの素敵な空間でいろいろやりたい」と語ってくれました。
3人にオフィスで一番のお気に入りを聞いたところ、意外にも1Fのトイレという回答に。その理由は、オフィスを訪れた際にぜひ実際に体感してください。
外階段を登るとメインフロアとなる2Fのエントランス。
「本社パロアルトのスタジオ”660”と共通したウェルカムサインがゲストを迎えます。将来的にはゲストとインタラクティブなコミュニケーションができるようなサイネージの開発を想定しています(Chihiro)」
オフィスに入ってまず目を引くのがMoonのネオンが灯るBar Spaceです。
「最高のアイデアはいつもダイニングテーブルから生まれます。Bar Spaceは、Moonの仲間たちが自由におしゃべりして、お互いのことをもっと知ることができる場所です。みんなの気持ちを一つにする場所でもあります。(Yo)」
Bar Spaceの向かいにはゆったりとしたソファスペースが広がります。
「わたしたちのオフィスは「どこでも働ける空間」がテーマ。このラウンジのソファも、実は人間工学に基づき、ラップトップPCでの作業を念頭にデザインされたものをセレクトしています。リラックスしながら効率よく仕事ができるスペースです(Chihiro)」
2Fのメインとなるの広い空間がフリーアドレスエリア。
「このワーキングスペースは、それぞれの使用のシーンによって自由にテーブルや椅子を動かしながら、自分に合うレイアウトが作れます。天井には大きな天釣りのプロジェクターがパロアルトスタジオ側のカメラと繋がり、毎日向こうにいるMoonmatesに挨拶できるんです(Ryu)」
「このスペースは、私たちの心の中にある箱を壊すためのもの。各自が好きに使うことができます。ルールはありません、創造的に使うことができます。だいたいなんでもできます(Yo)」
2Fの一番奥にあるのがMaker Space。
「実際に3Dプリンターや工具等を使って、手を動かしながらプロトタイピングできるスペースです(Chihiro)」
「メイカースペースは、デザイナーだけでなく、誰もが何かを生み出せる場所。みんなの創造的な魂を目覚めさせ、挑戦し、失敗し、学ぶことができます(Yo)」
「これから色々な種類の道具が増やす予定で、たくさんの物作りができるのことにワクワクします(Ryu)」
内階段で1Fに降りると開口部に向かって細長い階段上のシアタースペース。壁側にはMoonで進行中のベンチャーのイメージボードが飾られています。
「ここはVenture wallと名付けられたMoonギャラリーのような場所です(Ryu)」
「段差に座って仕事ができるようデザインされていて、階段にはコンセント穴が隠されているんです(Chihiro)」
Venture wallの向かい側の壁には3つのプロジェクターを繋げて投影することができるようになっています。
「映像の迫力を演出できるので、いつかここで映画の上演もやってみたい(Ryu)」
今野 千尋 (Chihiro)
平面、プロダクト、空間、体験などの領域を横断しながらMoon Projectのビジュアライゼーションとコミュニケーション設計を担う。休みの日には映画を観たり、ホテルを探しに旅行へ出かける。
Lung-Tsai Lui (Ryu)
ユーザーインサイトやニーズに対して、多様な視点からアップローチしながら魅力的なビジュアルを提案し新たなソリューションを創り出す。趣味はアウトドア、映画鑑賞、写真撮影、ゲーミングなど。
Chiyun Yeh (Yo)
アイディアの概念を視覚的要素に変換し、グラフィックデザインとイラストを駆使してより良いブランド・ユーザーストーリを伝える。休日にはハイキング、ギター、写真、美術館巡りを楽しみ、個展を開くことも。
Tomohiro Ueno (Tomo)
起業家をサポートし、彼らのアイデアをビジネスとして成功させることに情熱を注ぐ。自由時間には、カメラを片手に自然の中でコーヒーを楽しむ姿が見られます。